私は現在46歳の男性です。大学卒業後、教育関連教材の出版社に長年勤めていましたが、今は小さな学習塾を開いて経営者兼講師をやっています。
もともと受験産業に携わる仕事をしたいなと思い、新卒で受験教材を主に扱っている出版社に入社しました。そこでは企画、編集、営業とひととおりのことを経験しました。
出版社での仕事は残業が多くて大変だと聞きましたが、その出版社も例外ではありませんでした。時間外労働がとにかく多かったですね。また、営業職にいたときはノルマに追われて上司からの精神的なプレッシャーも大きかったことを思い出します。
現在は培った受験知識を生かしながら、自分で小さな学習塾を経営するに至りました。教室を借りて大学時代の友人に協力してもらいながら小中学生を対象に教えています。雇われの身から経営者になって思ったことは、ラクになったことと大変になったことがあるということです。
ラクになったことは、自分の都合に合わせて仕事をすることができるという点です。例えば家族で海外旅行に行きたいと思ったら、その週の授業は休みにするなんてことに自由にできます。また、給料に上限はありませんからお金という面ひとつにおいても夢があります。
ただ、大変になったと感じることもいろいろあります。それは、ざっくり言うと「何の保証もない」ということです。サラリーマン時代は真面目に勤めさえしていれば一定の給料をもらえました。また、仮に仕事で何かミスをしたとしても会社に属していたら会社全体でカバ-してくれるわけです。
しかし、経営者はすべてが自己責任です。どれだけがんばっても数字が上がらなけければ、怠けているのと同じという評価しか得られません。授業をしているだけではなく、営業努力、人間関係構築ほか、全てにおいて結果を求められるのです。
また、学習塾経営の場合、ひと昔前よりも軌道に乗せるのは大変。学歴重視の時代がひと昔前になり、受験産業は斜陽産業だといわれているのです。良い学校に入って良い大学に入れば成功できるという世の中でもありません。さらに少子化社会なので生徒を獲得するにはいろいろな苦労があります。
チラシ配り、生徒送迎、プリント作成、ネットでの宣伝・・そして志望校に生徒を合格させることを第一に、四苦八苦しながら塾経営に携わっています。結果的に勤務時間は前職より増しましたし、資金繰りで苦労することもあります。
ただ、全く後悔はありません。サラリーマン時代のほうがいろいろな面で安定していましたが、自分のやりたかったことを今できているので心は晴れやかなのです。
(転職の体験談 40代男性)