私は以前、ホテルのフロントで7年ほど仕事をしていたことがあります。雇用形態は正社員でした。
ホテルフロントの仕事は、とにかく確認することがとても多いです。予約確認業務でいえば、電話予約、ネット予約、FAXでの予約とさまざまで、日本人だけではなく外国人の方のケースもあります。
団体客については、旅行ツアーの添乗員さんからは宿泊客リストが入ったら部屋割りをしたり、ルームの確認連絡をしたりもしていました。
客室をどのように割り振るか、夕食・朝食宴会場の会場や座席をどのように決めるかなど、細々した作業しては何度も確認という作業がとても多かったことを思いだします。
もしひとつでもミスがあったらダブルブッキングが起きるなどしてしまうので、細心の注意とチェックが必要です。
ですからホテルフロントの仕事は、几帳面かつ機転の利く人が向いているのではないかと思います。それに加えて笑顔とホスタピリティの精神があればばっちりですね。
あと忘れてはいけないのが「英語」。
近年は日本政府がインバウンドに力を入れていることもあって外国人観光客の数が急増しています。
私がホテルマンとして勤めていた10数年前ならまだしも、今ならホテルマンとしてフロント業務に携わるためには英語を話せることは必須と言っても過言ではないと思います。
ただ、ネイティブレベルに喋れる必要はないと思います。いわゆるホテル英会話といって、ホテルマンが業務で使う英語は広そうで意外と狭いのです。
ルームナンバー、禁煙か否か、チェックイン・アウトの時間など、お客様とやりとりする事柄は限られているからです。
もちろん英語を流暢に話せるに越したことはありませんが、片言であっても意味が通じればOKです。少なくとも私は留学経験もなくTOEICの点数が人並みでしたけれど、フロントとして特に問題なく勤まっていました。
それは、聴かれることを想定して受け答えするための語彙に絞り込んで頭に叩き込んだからです。
なお、ホテルフロントの仕事の大変なこととしてまとわりつくのが「クレーム」です。「窓外の景色が思ったのと違っていた」「食事がまずい」「鍵が使いにくい」「シャワーの出がよくない」など、お客様からクレームを言われることが何度もありました。
私が勤めていたホテルの場合、お客様からのクレームは要望として書類にまとめて上司に報告。多く集まったものは可能な限り反映する努力をしていました。
ただ、館内の構造から解決しようのない問題もありましたし、個人の価値観によって意見が分かれるよな事項もありました。
そういったクレームに真摯に対応し、ときには毅然とした態度で処理する。それもホテルフロントの役割として重要なことでした。ホテルは完璧で当たり前と思われている側面があり、お客様は手厳しいものだなと何度も痛感したものです。
ちなみに私は現在はホテルの仕事は退職して、建築関連会社に転職。開発事業部で働いています。業種は違いますが、転職後も、ホテルマンとして培ったことが生きていると感じています。
データを確認して臨機応変の対応を行うこと、接客のマナーほか、ホテルマンとして身に着けたことがこんなに役に立つんだ!と半ば感動したほどです。ホテルの仕事は大変なこともありますが、色々得るものもある場だったと今になっては強く感じます。
(仕事体験談 40代男性 正社員)