日本は台風大国です。1年間に平均して11もの台風が接近するとされています。普段は気に留めていなくても、いざ台風が来てしまったとき、パニックになり、対応を誤ってしまったという経験のある人もいるかもしれません。
私も台風がきたときに焦って判断を誤ったことがあります。
数年前、私は飲食店で仕事をしていました。
9月に超大型の台風がやってきました。地域には暴風警報が発令されていて、朝起きると暴風雨が吹き荒れていました。
店長に電話をしたところ、「店は閉めるわけにいかないから、とりあえずこちらに向かってくれるかな?」と返事が返ってきました。
吹き荒れる風の中、なんとか最寄り駅に向かったのですが、ホーム上には長蛇の列が。電車が運転を見合わせていたのです。仕方なく電車を待ちましたが来そうにありません。
ふと見ると、交差点にタクシーが停まっていました。空車と表示があります。
「よっしゃ!」と思いタクシーに飛び乗りました。途中、渋滞したのですが何とか店の前に到着。料金メーターは6500円成。
料金支払い後、すぐにタクシーを飛び降り、ギリギリ普段の出勤時間に間に合う形でタイムカードを押しました。
店長にタクシーで出勤したことを話すと驚かれました。そしてそのとき最大のミスをしてしまったことに気づきました。
店長「はあ?タクシーで来たの?」
私「はい。電車が動いていなかったので・・」
店長「でもタクシー使っていいって俺、言ったっけ?」
私「いえ・・僕の自己判断です」
店長「自己判断って・・でいくらかかったの?」
私「6500円かかりました」
店長「ええ!?6500円もかかったのかよ~。ひとこと聞いてくれよ~・・こっちは近場の人間で人材確保してたわけだし。まあええよ。」
私「すいません・・」
店長「オーナーにお願いして経費で落とすようにするから、とりあえず領収書くれるかな?」
私「あ、しまった・・急いでて領収書もらってないです」
店長「はあ?領収書とってない?マジかよ・・そりゃ経費で落とせんぞ。」
私「しまった・・・」
店長「どんなタクシー乗ったか覚えてないんか?」
私「はい。黒いタクシーだったかとは思いますが・・」
店長「黒いタクシーなんて、都内にどれだけ走ってんだよ!」
私「そうですよね・・領収書どうしましょう・・?」
店長「ん・・まあ何とかこっちでするから、とりあえず開店の準備かかってくれ」
私「はい」
結局、タクシー代6500円は払っていただきました。ただ、後から思えば、おそらく店長がポケットマネーで払ってくれたのだと思います。
タクシーの領収書がない限り、経費では落とせるわけないわけですから・・店長には申し訳ないことをしたなあと思いました。
あの台風の日の出来事を振り返ってみると、いくつかの反省点が浮かび上がりました。
ひとつめは、電車が停まっているとわかった時点でもう一度店長に電話をすべきだったこと。
その際、タクシーを利用していいのか、タクシー代は請求できるのか判断をあおぐ必要がありました。
そのうえで、タクシー利用の証明書である領収書はしっかり受け取ることが必要です。
台風のように非日常的なことが起きると、人はつい焦って正常な判断ができなくなります。その点を考えたとき、平素からいろいろなパターンを想定して対応策を準備しておくことが大切だと思いました。
(30代男性)