私は現在大学4回生です。昨年まで約2年間にわたり本屋でアルバイトをしていました。本屋バイトといえば、「楽な仕事」だと思われがちです。確かにラクな面も多いのですが、私は決して楽な仕事ではないと感じました。その理由を、本屋の仕事内容をもとに以下、説明したいと思います。
本屋の仕事の中で、大学生はじめアルバイト従業員が担当するのは「レジ業務」「品出し・返品業務」の2つです。
<レジ業務>
レジ業務は、お客様がレジに購入する本を持参されたときに、レジ打ちをして精算作業を行うというもの。注文があれば本を発注したり、お客様が探している本を検索したりもします。
私が働いていた本屋は地方の本屋だったということもあり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのようにレジにお客様の行列ができるということはまずありませんでした。
ですから、仕事は至って暇で楽でしたね。ただ、お客様がレジにいらっしゃらない時間にも、本のカバー掛けをするなどできるだけ手を休めないように仕事を探してやっていました。
あと、イラストが得意な人はPOP描きを任されることもあります。
レジ業務は体力が要らない仕事ということもあって、女性が担当することが多かったです。
<品出し・返品業務>
品出し・返品業務は、レジ業務を除く書店内における全般的な仕事です。
「品出し」は雑誌の新刊を店頭に並べる作業。「週刊朝日」「週刊文春」「週刊新潮」「サンデー毎日」・・業者さんが届けてくれた新刊の箱を開封して所定のコーナーに配置していきます。とにかく種類が多いので、並べる位置を覚えておいて、テキパキと行う必要があります。
なお、女性誌の中には付録付きの雑誌もあります。それらは雑誌と付録が別個で発送されてくるので、雑誌の中に挟み込んで輪ゴムで止めていく作業も行っていました。
「返品作業」は売れ残った雑誌や書籍を箱に詰め、台車に乗せてひたすら運んでいく作業を繰り返します。
この「品出し・返品業務」はそれなりの体力がいりました。自ずと男性にこの仕事が廻ってきます。
「本屋バイト=ラクな仕事」と思いがちですが、この品出し・返品作業に関しては体力がない人にとってはキツイ業務になると感じました。
とりわけ大きな書店となると毎日のように膨大な数の雑誌を入れ替えることになるので、意外と大変な作業だったりするのです。
本がぎっしり入った箱を持ち上げたり降ろしたり繰り返していると、どうしても腰が痛くなります。なかには腰痛になって辞めていった同僚もいました。
<その他>
あと、こちらは「レジ業務」にも「品出し・返品業務」も共通することですが、本や雑誌についてお客様に聞かれたとき、的確に答えられるかです。
例えばこのようなことをよく聞かれました。
「恐竜の図鑑を探してんだけどどこあたりにあるかな?」
「読書感想文に適した本はあるかしら?」
「週刊〇〇の新刊はもう出てるかな?」
「小説家〇〇の本はどの辺にあるかしら?」
「今話題のあの絵本、なんだっけ?」
そういった質問に答えられるようになるためには、トレンドも含めて本に関する最低限の知識と、書店内のことに詳しくなっておく必要性を感じました。
ですから、本屋でアルバイトをする人は、やはり本が好きであることが望ましいと思います。私は本がもともと好きだったので、自分の知識を生かせたと実感できる場面もあり、やりがいを感じていました。
<私が本屋バイトを辞めた理由>
2年ほど本屋でアルバイトをしたのですが、最終的には解雇という形でアルバイトを辞めることになりました。
解雇になった理由はアルバイト先の本屋が閉店になってしまったからです。
インターネットや電子書籍の普及で、紙媒体が売れない時代。その時代の波を避けられなかったわけです。
そのように本屋は斜陽産業ゆえ、人口の多いエリアにある一部の大型書店を除くと、経営に余裕はないと考えられます。
その点、いつ職を失ってもおかしくないという意味で本やバイトはキツイアルバイトといえなくはないのかもしれません。
(アルバイト体験談 20代男性 大学生)