私は派遣会社に登録している30代の男性。どうして派遣会社の仕事をやっているかというと、なかなか正社員の仕事にありつけなかったからです。大学は地方の国立大学を卒業しています。派遣会社を通して色々な仕事をやってきましたが今回は試験監督の仕事(短期バイト)について自分の体験談を書いてみたいと思います。
試験監督のアルバイトは資格試験や模擬試験の会場で試験が予定通り行われるように監督業務を行うものです。監督というとお偉い立場の難しい仕事なのではないかとありがちですが全くそういうことはありません。仕事内容は答案用紙や問題用紙を回収したりカンニングしている受験生がいないかを監視したりといった簡単な裏方的な仕事です。
試験の規模や内容にもよりますが少し大きめの試験ですと主任試験監督と補助試験監督が共同で作業を行います。主任試験監督はその教室の責任者ということで時間の管理や簡単なアナウンスも行います。一方の補助試験監督は、試験の配布回収ほか主任試験監督の補助的な役割を行います。
私は両方行ったことがありますが、基本的にやる仕事内容としては大きな差はありません。ただ主任試験監督はその責任者ということもあって補助試験監督を何回かやった人が抜擢されるようになっていました。試験監督員のアルバイトをしているのはどのような人が多いのかというととにかくバラエティに富んでいます。
主婦、大学生、年配の男性が結構多いです。性別はもちろん特に学歴が問われることもありません。試験の内容にもよりますが大体は事前に研修があります。そこではマニュアルを渡されてそれに従っての注意点や作業の段取りについて学びます。
試験当日は決められた時間に試験会場に集まります。大体は試験が始まる2時間前くらいでしょうか。まずは大きな会議室で全体ミーティングがあり、当日の注意点ですとか変更点などのアナウンスがあります。それが終わると教室ごとに分かれてそれぞれ試験準備を行っていきます。
試験が始まるまでにやることとしては、黒板に「禁煙」や「飲食禁止」の紙を貼ったり、受験番号が書かれた座席表をはり出したり、あとは試験に関する注意事項をチョークで書いたりします。各机には受験番号の札も貼ります。あと主任監督員はもしその資格試験にヒアリング試験があればCDのチェックも行います。
そういった段取りについては研修の時に習うのでマニュアルに沿って作業していけば問題ありません。1回目の仕事の人は緊張するでそうが、補助監督員として入れば主任監督員の人が「これを次行ってください」という風に一つ一つやるべき作業を指示してくれるものですから特に心配は要らないと思います。
ひと通り教室内での準備が終われば朝集まった大会議室に再び集合して待機を行います。そして試験が始まる30分ぐらい前になると、主任試験監督は点検室に向かい、試験問題や解答用紙をピックアップしてきます。そして補助監督員を率いて受験教室に向かうわけです。
受験生が来たら「受験票を確認して座席に着席してください」といった注意事項を口頭で促します。試験時間が始まると主任監督員は教壇に立って注意事項に関するアナウンス始めます。ちなみにそういったアナウンスの内容についても全てマニュアルに書かれているのでそれを朗読するという感じです。
一方の補助監督員たちはそれぞれの持ち場について試験問題回答用紙を配布していきま。そして試験によっては受験票と顔の照合も行います。試験解答時間になると監督員は「始めてください」と合図を行い一斉に受験生たちは解答し始めます。
試験時間中、監督員たちは何をするのかというと、教室内を巡回してカンニングしている受験生がいないかをチェックします。お手洗いに行きたい受験生がいれば教室外まで誘導し、トイレの位置を教えます。あと筆記用具落とした受験生がいれば筆記用具を拾うという作業も試験監督員の仕事です。
試験に関する質問があれば主任監督員は答えられる範囲で回答します。ただ、試験内容に言及しているものならば主任監督員は全体をまとめるチーフ監督員に連絡をして指示を仰ぐという感じになります。
そういった感じで、少しでも分からないことがあれば上のポジションの人に解決してもらう。ですから試験監督員は学力は全く必要ないと言っても過言ではないでしょう。受験生を前にする仕事なので一応は緊張感はありますけれども、そこあたりはスグに慣れてしまうものです。
カンニングしている受験生と遭遇したことも皆無ですね。一番多いのは携帯電話の電源を切って下さいと案内しながらも切っておらずベルが鳴るケース。そんなときは「すぐ消してください」と注意を促しに行きます。そういったルールを守っていない受験生については報告書に記録して提出するようになっていました。
試験時間中は、基本的にはやる暇な時間が延々と過ぎていくという感じです。それが40~50分ぐらいの試験ならまだよいのですが、90分ぐらいの比較的長い試験時間となると試験監督員はとにかく暇です。ですからぼーっと考え事をしているだけというような暇で楽な仕事だと実感しました。
試験の解答時間が終わると主任監督員は「終わってください」と合図をし。補助監督員は問題用紙や解答用紙を回収しそれを受験番号ごとに並べます。枚数を数えて袋の中に封筒の中に入れ、主任監督員はそれをチェックし、集計用紙も添えて点検室に提出しに行きます。
それで試験の一科目が終了です。例えば4科目にわたる試験の場合そういった作業を4回行うということになります。現場によってはお弁当が支給されるところもあったりもしますし、試験時間中は後方の座席で座ることが許されるケースもあります。
現場には予備の試験監督員も待機していて、もし何かあった時でも安心でした。時給は補助監督員が1000円~1200円くらい。主任監督員の時給は1200~1400円ぐらいだったと記憶しています。仕事内容からしたら結構時給は高いなと私は感じていました。
試験監督のアルバイトはインターネット上では「楽なアルバイト」だとされていることが多いですが。何度か経験してみて思ったこととしてそこまで楽な仕事ではないと私は感じました。
その理由として、初回はかなり緊張する仕事だということです。マニュアルを読み込んでいたとしても、実際に現場でしか分からないこともたくさんありますから。また試験監督の仕事は当日に変更点も結構あったりするのでマニュアル通りにいかない部分もあったりもします。そういったことがあれば初めて現場に入る人は焦ってしまうもの。
マニュアルを全て読み込むのも相当な時間を要してしまいます。分単位で作業をすることが決まっていて、すべてを頭に入れるというのは難しいと私は感じました。ですから私の場合、小さいメモ帳に要点をメモしておいて、すぐ見れるように胸ポケットのとこに忍ばせていました。
もちろんマニュアルを教室に持ち込むことはできるわけですけれども、その時その時に応じてページをめくって調べるなどなかなかできませんし、タイミングを逃してしまうからです。例えば受験生たちが集まってきた時どのような声かけをするかなどもマニュアルでは細かく決まっているのですが、時系列にあらかじめ書き出しておくと便利です。
最後に、試験監督のアルバイトで気をつけておかねばならない点を2点お話ししたいと思います。それは時計と服装です。分単位で現場のスタッフはマニュアルに従って行動するわけですからとにかく時間の正確さというのが徹底されていました。
時計は1秒単位で正確に合わせておく必要があります。主任監督員のみならず補助監督員もです。全体ミーティングの時と教室のメンバー同士が集まったときと二回時刻を確認し合う作業をしていました とにかく時間に関しては徹底しています。ですから自宅を出る前に電話の117で正確に時刻を合わせておくことをおすすめします。なお、時計を忘れたなど論外です。速攻で帰らされます
帰らされるといえば遅刻も厳禁ですね。今まで入った仕事の中で3分ほど遅刻をして現場に到着した人がいましたが「帰って下さい」と責任者に言われていました。
あとは服装と身だしなみもかなり重要。試験監督員の服装はスーツです。白いカッターシャツに革靴という指定もあります。あとは髪の毛を染めていないこと、爪を切っていること、髭を剃っていることなども細かくチェックされます。
ちなみに私が入った現場の中でカラーのカッターシャツを着てきた人がいましたが、「コンビニで買って着てください」と責任者に言われていました。本人は「日給が減るからそれは嫌です」とゴネて結局帰らされていました。
試験監督員の仕事は学力や特別な能力というのは必要ありません。しかし、マニュアルに書かれていることや研修で習ったことは堅実にこなさなければならない仕事だと感じました。そういった意味ではものすごく楽な仕事ではないと私は感じました。
ただ、私もそうなのですが試験監督のアルバイトは一度現場に入って状況がわかると2回目3回目はどんどん楽になっていきます。集まっているメンバーたちもリピーターが多くて知り合いも多くなるにしたがって仕事もどんどんしやすくなっていきます。
ですから何度か現場に入った人は、試験監督のアルバイトを楽なアルバイトだと感じるようになっていくのだと思います。決められた事さえきっちりとやっていればあとはしんどいこともなく、結構良い時給でお金をもらえるわけですから。
いくつか派遣会社に登録しておけば結構な頻度で試験監督バイトにありつけるものなのかもしれません。ちなみにある知り合いは「試験内容さえ選ばなければほぼ毎週のように試験監督のアルバイトが入ってくる」と話していました。そして夏休み期間に25万ほど稼いだこともあるとのこと。やり方によっては結構稼げるアルバイトなのかなと思ったりもしました。
(楽なアルバイト体験談 30代男性派遣社員)