経団連が2021年春入社以降の学生を対象に「就活ルール」の廃止を発表しました。これからは政府主導でルールが決まっていくという流れになるそうです。その報道を受けて「学業に影響が出るのではないか?」という懸念の声が多数上がっているようですが、私は心配に及ばないと考えています。
今から20年近く前になりますが、私は東京都内にある某私立大学(文系学部)を卒業しました。日本の大学は、入学するのが難しく卒業するのは簡単だといわれています。私が在籍していた大学は世間では難関私大と呼ばれるグループに含まれているのですが、その空気感を入学直後から感じていました。
この人は何を目的に大学に入学したんだろう?と思うような大学生をたくさん見かけたからです。大教室での講義は特にひどいものでした。真剣に講義を聴いている人は前席から真ん中くらい。後方の座席では、私語をしている人や終始寝ている人ばかりでした。また真面目にテキストを読んでいると思いきやよく見るとマンガを広げている人もいましたね。
一生懸命勉強し難関を突破して入学したはずの大学生がどうしてこんなことしているの?と大学生きの実態を見て唖然としたのを覚えています。彼らがこれから学問を究めようとしているとは到底思えませんでした。
とはいえ、実際のところ、ただ聴くだけの大学の講義自体にも問題があると感じました。何の興味も持てないような歴史上の人物について講師がぼそぼそ話すのを聴いていても、ほとんど頭に残りませんでした。
またその講義を真剣に聴いたとしても、高校の時のように受験に出題されるわけでもありません。ですから、講師が話していることに興味がない人にとっては聴くメリットがないといいますか・・そんな意味では、私語をしている人、寝ている人、漫画を読んでいる人など合理的な時間の使い方といえるかもしれないとさえ感じたほどです
ではどうして大学生はそのように興味のない講義に出席をしているのかというと、単位をとるためです。講師にもよりますが、出席率と定期テストで単位を与えるか否かを決めるようになっていました。講義によってはただその場にいさえすれば単位をとることができるようなものもあったのです
私の周囲では、大学時代に学業に精を出している人はほぼ皆無でした。「大学=遊ぶ場所」と割り切っていた友人も多かったですね。はっきり言って大学生は「暇」が多いのです。私もそうだったのですが「受験」という目的を失った後、何をしていいのか分からない人の割合も高いのですよ。ごく一部の学生を除いて、日本の大学生は学業にそこまで力を注いではいないと思います。少なくとも文系学部では、学問をするために4年間という膨大な時間を費やすのは長すぎるという印象を持ちました。
今回、経団連の就活ルール廃止によって、就職活動早期化のために学業に支障が出ることが懸念されています。ただ、私の意見では支障はそう出ないのではないかと思います。講義中に寝ていたり私語ばかりしている学生が世間の大学には驚くほど数多くいるからです。そのように大学生活に学業の意義や目的を見いだせていない学生にとって、就職活動が早くなろうが全く影響がないと思うのです。
むしろ早めに就職活動をして、社会に出る準備をするほうが有意義な時間の使い方をできるような気さえします。
学業は何も、大学に在籍している4年間に限ってするものではありません。知識や見聞を広げ、自分の可能性を広げるために一生をかけて行っていくものだと思います。つまり就職活動中であっても学問はできるというわけです。
就職活動も同じではないでしょうか。区切られた期間のなかで一斉に行うべきものではなく、学生自身が自分の適性をじっくり考え、志望する分野が決まったタイミングがベストであると思います。そうすることで仕事のミスマッチも起きにくくなるのではないでしょうか。
以上のことから私は経団連の「就活ルール」撤廃による学業への影響はそう心配することはないと考えます。
(仕事に関する話題 40代男性)